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明日は言えるかな

明日は言えるかな 佐倉しいね

 

 相変わらず、この作者はウジウジした男子を描く。

 

 男が男を好きになり、喧嘩とかしつつスッと付き合って、スムーズに致すBLが何とも多い昨今。ここまでモダモダさせるBLあるかね?と思うほど、これはBLなのか?と思うほど、 この話の主人公はウジウジしている。1冊まるっと表題作。しかも分厚い。これでもかというくらい、ページを割いてウジウジしてくれる。

 

 この話の主人公(壱太)、女子がすきである。それが明確に示されている。よくある、「俺は女好きで有名だ!」とか、そういうんじゃない。幼なじみの女子がすきな、ごく普通の男子。

 

 あろうことかこの本、好きな女子と付き合う付き合わない、に半分以上のページを費やしている。

 もちろんBLなので、最終的には男と男がくっ付くのだが、幼なじみの事が好きなのに、素直になれずぶっきら棒につい突っかかってしまう男心がなんとまあ、丁寧に描かれている。わたしだって、「早く告白しなよ!」と思わず応援してしまいそうだ。というか、した。

 まるで、逆少女漫画。

 

 

 

 「本当に好きなのか分からない」と話す壱太。あるある。でも幼なじみに対してハッキリと分からなかった「好き」が、相談相手の高槻に対してはハッキリとした気持ちで気付いてしまいそうになる。

 

 

 BLは少女漫画と違い、1冊で完結するものも多く、たった1冊の決められたページ数の中に

  • 二人の出会い
  • 好きになる過程
  • 告白
  • H
  • (日常・後日談)

を盛り込まなくてはならない。特に最近のBLの傾向としてHを濃く描くことが増えてきているように思うので、必然的に「好きになる過程」のところはそこまで丁寧に描かれない作品もある。

 そもそも、最初からAはBのことが好きというスタートだったりもするので、「なんでAはBが好きになったの?」という疑問を持ちながら読み進めていくことも多々ある。

 

 その点において、この作品は非常にじっくりと、相手の優しさや良さに気付く時、お互いを意識し始める時、嫉妬心を感じる時、自分を誤魔化してしまう時、全てが瞬間でなく続いている時の中での気持ちの変化として描いている。

 

 最初はなんてことないただのクラスメイト。壱太の恋愛相談を受ける高槻という、友だち関係。彼らが互いにどんなところに惹かれたのか、読んでいてしっかりと分かる。

 

 

 女子がガンガン出てくるので、苦手な方は注意かな。途中から出てきた高槻のバイト先の子は、ちょっとぐいぐい過ぎて驚いた。

 

 しかし、この漫画、女子がちっとも幸せじゃないのが何となく残念。最後の最後で都合のいい女になっちゃダメだよ…と、そこだけがちょっと。

 折角、男の子たちの心の動きを丁寧に描いているので、女の子たちにもおまけマンガか、もしくはあとがきで良いので何か幸せと思えるものがあれば更によかった。

 

 

こういったじわじわくるBL大好きなので、今後もこの作者さんの本はチェックしなくては。

 

明日は言えるかな (ショコラコミックス)

明日は言えるかな (ショコラコミックス)